社会人になると人事異動の機会があります。引き継ぎと共に「異動の挨拶」をしっかり行うことがビジネスマナー。異動の挨拶には、伝え方・伝えるときの注意点・メールの書き方においてポイントがあります。この記事では、異動の挨拶のメールの書き方の例文と共に、異動の挨拶のポイントを丁寧にお伝えします。
異動の挨拶で伝えるポイント
人事異動になったとき、異動の挨拶で伝えるポイントは以下の3つです。
- 挨拶の対象者は誰か
- 重要な相手には対面の挨拶を
- 場合によってはメールで挨拶しても良い
挨拶の対象者は誰か
異動の挨拶では、異動前の職場と異動先の職場、社外の3つの対象者に対して挨拶を行います。対象者ごとに挨拶の内容を変えていきましょう。
例えば、今まで一緒に働いた上司・先輩・同僚あるいは関係部署の仲間に対しては、お礼の気持ちや思い出と共に挨拶します。異動先の職場では異動前における努力や成果、そしてこれからの抱負を挨拶します。
社外の顧客や取引先に対しては、お世話になった感謝と後任者の引継ぎを中心に挨拶しましょう。
重要な相手には対面の挨拶を
異動の挨拶は、タイミングや相手によって挨拶の仕方が違います。異動前後の職場で、メンバー全員の前でスピーチすることもあれば、電話やメールで挨拶することもあります。
また、先に電話やメールをしておいて、対面で挨拶することもあるので、ケースバイケースで挨拶の仕方を変えていきます。 仕事でお世話になった顧客や取引先に対しては、電話やメールだけでなく対面の異動の挨拶をしておくと、より丁寧です。
社会人になって出会った人材はビジネス上の財産であり、将来のどこで再びお世話になるか分かりません。ですから自分にとって重要な相手だと思ったときは、対面の挨拶をするように心がけましょう。
場合によってはメールで挨拶しても良い
異動の挨拶は、対面で挨拶する方が丁寧です。しかし引き継ぎもある中で全員に対面で挨拶するのは物理的に難しいです。場合によってはメールで異動の挨拶を行っても構いません。
異動の挨拶を行う対象者を洗い出しておき、対面で挨拶する人を選んでおきましょう。
異動の挨拶で気をつける点
異動の挨拶のスピーチでは「何月何日をもって異動します」のような異動時期を伝えるだけでは不十分。いくつかの注意点がありますので確認しましょう。
異動の挨拶の目的・内容を合致させる
人事異動には転勤や転職など様々な理由があります。なぜ人事異動となるのか、人事異動の挨拶の目的と挨拶の内容を合致させておきます。転勤であれば、異動前の職場の社員とは同僚です。
「いつでも会えること」「会いにくること」などをスピーチに盛り込むと親しみやすさが残る挨拶となります。 転職のときは転勤よりも会う機会は減ります。
ですから世話になった上司や同僚への感謝の気持ちを中心にスピーチし、職場に残る人たちが気持ちよく送り出せる雰囲気づくりに努めます。
簡潔な挨拶を心がける
異動の挨拶のスピーチでは簡潔な挨拶を心がけます。簡潔な挨拶では「時間が短いこと」「内容がシンプルであること」の2点のポイントがあります。
内容がシンプルであるためには、異動の挨拶を事前に考えておく必要があるでしょう。人前で話すことに慣れていないと、行き当たりばったりの挨拶では「何をいいたいのか伝わってこなかった」と相手に思われかねません。
簡潔な挨拶ができるようにスピーチの構成や話す内容を考えるなど、事前の準備が大切です。
辞令前に挨拶をしてはならない
人事異動の内示は辞令よりも以前に行われます。人事異動の内示を受けたからといって、辞令前に異動の挨拶を行ってはいけないのが原則です。
引き継ぎを早急に行う事情がある場合は、特定の社員や顧客・取引先に人事異動を知らせて引き継ぎを行います。それでも、多くの社員はあなたが異動することを知りませんので、異動の挨拶をしないようにします。
異動前の職場の悪口をいわない
異動の挨拶では異動前の職場を悪くいわないようにします。異動前の職場では、社員が引き続き働いているのですから悪口をいわれると気分が良くありません。異動前の職場について文句をいいたいこともあるでしょう。
しかし、多くの人の前で職場の悪口をいうと、社会人としてのあなたの価値が下がります。理不尽な目に遭って文句をいいたいときは、ごく限られた人に対して内密に行うのがベストです。
異動の挨拶メールの書き方
異動の挨拶をメールで行うときの書き方を解説します。件名や本文の書き方、そして送信先についてのポイントです。
メールの件名はシンプルに
異動の挨拶メールの件名は、一読して分かるくらいシンプルなものにします。
例えば「ご連絡」「ご挨拶の件」などという件名を書かれても、メールを受け取った相手は異動の挨拶か否かが分かりません。「人事異動のご連絡」と書いて、社名を添えるくらいのシンプルな件名として下さい。
必要な情報を盛り込む
異動の挨拶メールでは必要な情報を盛り込みます。必要な情報とは以下の通りです。
- 感謝の言葉
- 異動の時期
- 後任者の氏名・連絡先・肩書
- 後任者との引き継ぎの案内
- 異動後の自身の連絡先
異動前の職場、異動先の職場、あるいは顧客や取引先など、メールを送る相手によって必要な情報を選別して送ります。なお、転職するときは、自身の連絡先を書かないのがビジネスマナーです。
転職後に、顧客・取引先情報を活用していると前職の会社に疑われないようにするためです。
一斉送信を行わない
異動の挨拶メールでは一斉送信を行わないようにします。世話になった人が多ければ多いほど、異動の挨拶メールを書くことが多くなり大変です。しかし、世話になった相手には個別のメールを送り、心証をよくすることがビジネスマナーです。
「ビジネスマナーが欠けている人」というレッテルを貼られないよう、異動の挨拶メールでは一斉送信を行わないで下さい。ただし、面識がない相手にはメールを一斉送信しても構いません。
異動の挨拶メールの例文
どのように異動の挨拶メールを書いたらよいでしょうか。例文を3つ、紹介します。
社外
件名:人事異動のご連絡【○○○○株式会社】
株式会社△△△△
人事部 遠山様
いつも大変お世話になっております。
○○○○株式会社 本社営業部の山崎でございます。
私事ですが、4月1日をもって沖縄支店に異動となりましたので、ご報告申し上げます。着任以来、遠山様には大変お世話になりありがとうございました。
後任は山田麻衣が担当させて頂きます。山田は5年前に本社営業部に配属となった者で、本社配属以前は大阪支店で営業を務めておりました。万全の引き継ぎをして参りますのでよろしくお願い致します。なお、山田の連絡先は080―×××―××××でございます。
さて、引き継ぎの日程としまして、以下の候補日を挙げさせて頂きましたが、遠山様のご都合はいかがでしょうか。
・〇月〇日(火) 10:00~
・〇月×日(金) 10:00~
今後とも弊社への変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
メール署名
異動前の職場
件名:人事異動のご連絡
マーケティング部各位
お疲れ様です。
営業部の山崎太郎です。
人事異動の通知の通り、4月1日付けで沖縄支店に異動することとなりました。
在籍中は大変お世話になりありがとうございました。
沖縄支店では本社と同じ仕事をしていきますので、マーケティング部の皆様とも何らかの形でご一緒できると思います。
本来であれば全員にご挨拶すべきところ、メールにて失礼致します。
最後になりましたが、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
メール署名
異動先の職場
件名:着任のご挨拶
沖縄支店 営業部各位
お疲れ様です。
本社営業部の山崎太郎です。
人事異動の通知の通り、4月1日付けで沖縄支店に異動することとなりました。
1日でも早く業務に慣れていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。
メール署名
まとめ
異動の挨拶では、伝え方やメールの書き方にポイントがあります。
ポイントを押さえれば、異動の挨拶は難しいものではありません。人事異動になったら、社会人として恥じない異動の挨拶を行いましょう。