サードプレイスとは?メリットやスタバなどの事例を紹介

サードプレイスの記事

サードプレイスは社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した、家庭でも職場でもない第3の場所。リラックスし、新しい出会いや学びを得られる場所、それがサードプレイスです。サードプレイスのメリットや企業の事例、そしてスタバとサードプレイスの関係などを紹介していきます。

目次

サードプレイスとは

サードプレイスとは
サードプレイスとは何でしょうか?サードプレイスの言葉の定義や、日本におけるサードプレイスを見ていきます。ビジネスでもサードプレイスが注目されるようになってきているので、その背景に着目していきましょう。

サードプレイスについて

サードプレイスとは第3の場所という意味。第3の場所には、家庭でも職場でもなく、心地良い場所という意味合いが込められています。サードプレイスと名付けたのは米国の社会学者レイ・オルデンバーグでした。尚、オルデンバーグが定義するサードプレイスの8つの特徴がありますので、後述します。

日本におけるサードプレイス

オルデンバーグの著書『サードプレイス』の解説を担当したマイク・モラスキーは、日本におけるサードプレイスをいくつか列挙しています。

・街角の喫茶店
・庶民的な居酒屋
・大衆食堂
・ゲートボールグラウンド、囲碁・将棋クラブ
・銭湯

こうして見ると、サードプレイスはかしこまった場所ではなく、ぶらりと立ち寄って時にはおしゃべりをしながら帰れる気軽な場所という感じがしますね。

ビジネスでサードプレイスが注目されるようになった背景

サードプレイスはビジネスでも注目されるようになってきています。その理由にはビジネスパーソンの労働環境が悪いことが背景として挙げられます。

働き方改革をやらなければならないほど、日本のビジネスパーソンの長時間労働は常態化しています。長時間労働をしたからといって生産性が上がる訳でもなく、OECD加盟国の中で日本の労働生産性は下位に位置付けられていて、G7中最下位です。ビジネスパーソンは長時間労働を是正するとともに、サードプレイスのような第3の場所によりストレスを解放しリラックスする必要があるんですね。

あわせて読みたい
労働生産性とは?日本の現状と向上に成功した事例 低い経済成長率、少子高齢化などに伴って日本でも労働生産性が重要な指標となっています。政府で推進している働き方改革にも労働生産性は深く関わっています。本記事で...
あわせて読みたい
長時間労働とは?現状の問題点と解決に向けた対策を紹介 長時間労働とは、その名の通り労働時間が長期に及んでしまうことを指します。 残業文化が良しとされがちな日本の労働現場では、長時間労働の問題が根強く残っています。...

サードプレイスのメリットや作り方

サードプレイスのメリットや作り方
サードプレイスのメリットには「リフレッシュやストレスの発散」「新しい出会い」などがあります。メリットを丁寧に見ていくと共に、サードプレイスの作り方についても解説していきます。

リフレッシュやストレスの発散

サードプレイスに行けば、日常の疲れをリフレッシュでき、ストレスを発散することができます。

例えば仕事帰り、まっすぐに帰らず行きつけのバーに行きます。そこで軽いつまみとお酒を飲みながら、バーの店主と他愛もないおしゃべりをします。サードプレイスに行けば職場や家庭では味わえないリフレッシュを味わったり、仕事のストレスを発散したりすることができます。

新しい出会い

サードプレイスに行って新しい出会いを求める人もいますね。家と勤務先の往復を続けているとなかなか新しい出会いに至らないですね。ですから新しい出会いを得るために、サードプレイスに行くのもサードプレイスの目的の1つです。

例えばコワーキングスペースに行くと、異業種の人が働いています。単独で働くことも可能ですが、異業種の人と会話を楽しむこともできますね。ちょっとした接点から新しい出会いに繋がり、友人や時には仕事の繋がりができることもあります。

学びや心地よい刺激

サードプレイスに行って、学びを得たり職場や家庭では得られない心地よい刺激を受けたりすることができます。例えば習い事に行って、リラックスした状態で講師と会話する中で人生のヒントを得たり、刺激を受けたりすることがあります。

サードプレイスの作り方

サードプレイスは職場でも家庭でもない第3の場所。でも敢えて企業内にサードプレイスを作ることもできるんですね。

例えば、企業内にカフェとかバーを作れば、社員にとっての憩いの場になりますね。特にバーの場合は、アルコールが入るので就業後となります。企業内なのにリラックスした、居心地の良い場所となります。

お金をかけてカフェやバーなどの施設を作ることもできますが、食堂を利用してカフェやバーにしてしまうこともできます。バーは夜間なので昼は食堂、夕刻以降はバーといった使い分けも可能です。大きな費用をかけなくても既存の施設を有効活用してサードプレイスを作ることもできる訳です。

オルデンバーグが定義するサードプレイスの8つの特徴

オルデンバーグが定義するサードプレイスの8つの特徴
サードプレイスの提唱者であるレイ・オルデンバーグが定義するサードプレイスの8つの特徴を見ていきましょう。

1. 中立領域

サードプレイスは特定の考えや思想などに偏ることなく過ごすことができる中立的な領域です。誰が訪れたとしても否定されることなく、受容され、居心地良く過ごせる場所。それがサードプレイスなのです。

2. 平等主義

サードプレイスは全ての人に門戸が開かれています。ゆえに年齢・性別・国籍・勤務先などを問わず誰が参加しても構いません。むしろ誰が参加しても良い場所であるからこそ、「リフレッシュ」「新たな出会い」「学び」などを得ることができるでしょう。

3. 会話が主たる活動

サードプレイスでは、リラックスした雰囲気の中で会話を楽しめることが特徴の1つです。ですから、緊張した雰囲気でルールに基づいて議論をするのではなく、時には笑いが入るくらいのゆったりした会話が求められます。

4. アクセスのしやすさと設備

サードプレイスはアクセスがしやすい必要があります。アクセスが悪いと「行かなくてはならない」と意識を強く持たなくてはなりません。気軽に行けてこそ、人はサードプレイスに行くことで会話を楽しめます。

5. 常連や会員が存在する

いつ訪れても「見知らぬ顔」ばかり。それではリラックスできませんし会話を楽しみづらいですね。全員と見知った顔である必要はありませんが、常連や会員が存在することでサードプレイスは独自の場を形成します。

しかも、常連が新参者を拒まないため何度も訪れたくなる。「あのお店に行って常連のAさんと話したいな」と思える空間になっていく。それがサードプレイスの醍醐味でしょう。

6. 控えめな態度と姿勢

サードプレイスに集まる人には、控えめな態度と姿勢が求められます。ですから、新参者が来ても暖かく迎える雰囲気がある訳です。サードプレイスに集まる人は、お互いに控えめな態度と姿勢で接し合い、豊かな人間関係を築くことができます。

7. 機嫌がよくなる

前述の通りサードプレイスは、緊張した議論やディスカッションよりも会話が主体だと述べました。従って、サードプレイスに行けば気持ちが落ち込んでいた人も明るく笑えるようになり、店を出れば機嫌が良くなっていくこともサードプレイスの特徴の1つです。

8. 第二の家

サードプレイスには家庭的な雰囲気があります。他人と気軽に話せることでサードプレイスは「第二の家」のような空間を表します。辛いことや苦しいことがあれば心情を吐露し、同情・共感してくれる空間。これがサードプレイスが「第二の家」であるゆえんです。

サードプレイスとビジネス。事例を紹介。

サードプレイスとビジネス。事例を紹介。
最後にサードプレイスのビジネスの事例を紹介していきます。

富士ゼロックスのバーチャルハリウッド

富士ゼロックスは1999年よりバーチャルハリウッドという名称でサードプレイスを展開。組織横断的なプロジェクトで、上下関係なく、会社・仕事・自分自身を変えたい、成長させたいという「思い」「実行力」のある社員がディレクターとなり、テーマを設定してコミュニティ活動を展開していくものです。

バーチャルハリウッドでは、直ぐに成果が出なくても良いとしています。そのため、自由闊達な雰囲気の中で会話ができ、サードプレイスの平等主義の中でプロジェクトを進めることができるでしょう。

One Panasonic

パナソニックでは2012年よりOne Panasonicという有志の団体を結成しています。これがパナソニックのサードプレイスで、2006年入社の若手社員がパナソニックの社長に打診したことがきっかけとなって作られたものです。パナソニックのような超大手企業の社長が若手の声を傾聴するというのも凄いですが、One Panasonicの立役者となって若手社員の実行力には瞠目させられますね。

One Panasonicでは組織横断的な団体で、上は経営層から下は若手社員までの繋がりがあります。パナソニックほどの大手企業だと個性的な社員も数多くいるでしょうが、人が多過ぎてなかなか出会えるケースがありませんでした。One Panasonicの「ようこそ先輩」という取り組みで、そうした障碍を取り除き、人脈を形成したり視野を広げたりしています。One Panasonicの取り組みのおかげで社員の内発的動機付けが高まり、また、他社や他部門への良い刺激にもなっています。

3DEN(エデン)

米国は日本以上にサードプレイスの場所はたくさんあります。しかし休憩したり仮眠したりするスペースは多くありませんでした。そこで3DEN(エデン)は、米国のニューヨークに仮眠もできるサードプレイスを作りました。「リフレッシュやストレス解消」といったサードプレイスの一側面を満たした場所ということが言えるでしょう。

サードプレイスとスタバ

日本においても全国一の店舗数を誇るカフェショップとなっているスターバックス。実は、スターバックスはサードプレイスとしての特徴を兼ね備えたカフェなんです。スターバックスに長時間滞在していても店員から帰るように促されたことはないと思います。おしゃべりしても良いし、仕事をしても構わないし、どれだけ長時間滞在しても良い。それがスターバックスです。

まとめ

サードプレイスのまとめ
いかがでしたか?サードプレイスの定義からメリット、そしてサードプレイスを定義したオルデンバーグの特徴、事例に至るまで紹介してきました。企業内にサードプレイスを設けるケースもあります。もし記事を読んでサードプレイスを作りたいと思ったら参考にしてみて下さい。新しい出会いを求め、街のサードプレイスに行くのも楽しいですよ。

あわせて読みたい
労働生産性とは?日本の現状と向上に成功した事例 低い経済成長率、少子高齢化などに伴って日本でも労働生産性が重要な指標となっています。政府で推進している働き方改革にも労働生産性は深く関わっています。本記事で...
あわせて読みたい
長時間労働とは?現状の問題点と解決に向けた対策を紹介 長時間労働とは、その名の通り労働時間が長期に及んでしまうことを指します。 残業文化が良しとされがちな日本の労働現場では、長時間労働の問題が根強く残っています。...
よかったらシェアしてね!
目次