ダイバーシティーの意味とは?推進するメリットや具体的な企業の成功事例を紹介

日本企業にとってダイバーシティは重要な意味を持ちます。日本の労働生産性は40年以上前から低いまま、そして人口は減少し続け経済成長は停滞しています。このようなビジネスを取り巻く環境の悪化に打ち勝つために、多様性を意味するダイバーシティが求められてきているのです。記事では、ダイバーシティの意味、ダイバーシティの推進の取り組み、企業事例等について分かりやすく解説していきます。
目次

ダイバーシティーの意味とは

ダイバーシティーの意味とは
ダイバーシティは多様性という意味です。ダイバーシティは単体で使われることもあれば、ダイバーシティは受容を意味するインクルージョンと合わせて、「ダイバーシティ&インクルージョン」と表現されることもあります。ダイバーシティとインクルージョンの関係、ダイバーシティ&インクルージョンが注目される理由について解説します。

ダイバーシティとインクルージョン

ダイバーシティとインクルージョンそれぞれの意味について説明した上で「ダイバーシティ&インクルージョン」の考え方を解説していきます。

ダイバーシティ

ビジネスにおいて使われるダイバーシティは、人材の多様性という意味で使われます。すなわち、従業員が性別・年齢・国籍等によって就業機会を阻害されず、仕事に参画できること を意味します。

インクルージョン

ビジネスにおいて使われるインクルージョンは、人材の受容という意味で使われます。従ってインクルージョンは多様なバックグラウンドを持つ従業員が対等な関係で相互に認め合って能力を発揮していくこと を意味しています。

「ダイバーシティ&インクルージョン」とは、ダイバーシティによって多様なバックグラウンドを持つ人材に対等に就業機会を与え、インクルージョンによって従業員同士がお互いの個性を認め合って能力を発揮することで組織や事業運営に影響を与えていくことを言います。

ジョブくん
ダイバーシティとインクルージョンとはセットにして考えることで、個々の人材が能力を発揮できますし、組織内ではチームワーク良く働くことができます。

ダイバーシティーとインクルージョンが注目されている理由

なぜダイバーシティとインクルージョンが注目されているのでしょうか。それは、日本経済の現状を見ると分かりやすいと思います。

海外勢との激しいシェア争い、経済成長率の低迷や労働生産性の停滞、そして少子高齢化等により、労働者の長時間労働に依存してきたこれまでの人材活用では経営が成り立たなくなってきています。

従って、多様な背景を持つ人材を確保して、厳しい経済環境を乗り越えていく必要が出てきている訳です。

ダイバーシティ&インクルージョンな環境を築くメリット・デメリット

ダイバーシティ&インクルージョンな環境を築くメリット・デメリット
ダイバーシティ&インクルージョンの環境を築くためのメリット・デメリットを紹介していきます。

メリット

ダイバーシティ&インクルージョンを推進していけば多様な人材が働いていくので、男性中心で長時間労働を強いてきたこれまでの労働環境と異なり、多様な人材と働く接点を持つことで組織の活性化が図られます。また、多様な人材を尊重する組織文化が醸成されていくメリットがあります。

デメリット

組織においてダイバーシティ&インクルージョンを推進していくと、多様な人材が就業機会を与えられるのでコミュニケーションに支障をきたすリスクがあります。

また、多様な人材が能力を発揮すればチームワークの醸成に繋がるはずですが、コミュニケーションに支障をきたしている間は、チームワークの悪化に陥る可能性があります。

ダイバーシティ&インクルージョンに関する法律や制度

ダイバーシティ&インクルージョンについてどんな法律・制度があるか具体的に確認していきます。

高齢者雇用安定法

高齢者雇用安定法は2013年の改正により、労働者が雇用継続を希望する場合、65歳まで雇用することが義務化されました。シニアが活躍するための基盤を整えています。

くるみん

くるみんは厚生労働省が管理しているもので、くるみんマークを持っていると厚生労働省から「子育てサポート企業」との認定を受けたことが証されます。

障害者雇用促進法

障碍者雇用促進法においては、企業に合理的配慮の提供義務を課しています。合理的配慮とは、募集・採用時において「障害者と障害者でない人との均等な機会を確保するための措置」であり、採用後においては「障害者と障害者でない人の均等な待遇の確保または障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置」のことを言います。

企業が行なっているダイバーシティ推進の取り組み

企業が行なっているダイバーシティ推進の取り組み
ダイバーシティを推進するために企業はどんな取り組みを行ったら良いでしょうか。多様な人材の活躍を目指すための取り組み事例を紹介します。

女性、高齢者、LGBTの人材などを積極的に採用する

男性中心の過重労働を是とする労働環境では、女性にとっては働きにくいのが現状です。従ってこれまで採用を抑制してきた女性を積極的に採用することで、ダイバーシティ推進に繋げます。また、高齢者、外国籍の人、LGBT等のようなビジネスの現場ではマイノリティの人材を積極的に採用することで、ダイバーシティを推進していきます。

限定正社員など雇用形態の種類を増やす

全国・海外転勤が当たり前で「転勤しない」希望を述べても企業に聞き入れてもらえないと、多様な人材の活躍が見込めません。そこで、限定正社員のように転勤がなく、能力を発揮できる雇用形態を増やしていくことで多様な人材が活躍できる土台ができます。

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リモートワークなど働き方の自由度をあげる

ネットワークやデバイスの発展によりリモートワークによって仕事をする環境が整ってきています。

ダイバーシティの観点でいえば、妊娠・出産・育児により出社することが困難な女性、障害により出社が困難な障害者が能力を発揮して働くために、リモートワークによる自由な働き方を認める必要があります。

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働きやすさを改善するための制度の整備

女性、高齢者、外国籍の人、LGBTの人材を積極的に採用しても、彼ら彼女らに働きにくいと思わせたらダイバーシティは進みません。

従って、多様な人材が働きやすい環境を整え、制度を構築していくことが求められます。多様な人材は自分が会社の中で平等に評価されているかに留意しています。

そのため、公平で透明性の高い評価制度を構築する必要があります。性別・年齢・国籍・性的志向等の理由で差別されずに評価されていることが分かれば、多様な人材が活躍できる素地が整うことになります。

具体的な企業の成功事例

具体的な企業の成功事例
ダイバーシティについて企業はどのように取り組んでいるでしょうか。企業の具体的な成功事例を見ていきます。

株式会社ノベルズの事例

株式会社ノベルズは食品事業を営む北海道の企業。ダイバーシティへの取り組みとして、賃金制度と評価制度に力を入れました。

仕事を通じた会社への貢献度を公平に図ることで、多様な人材が働きやすい環境が整っています。また、短時間勤務制度を導入することで育児中の女性スタッフが働きやすい環境も整備してきました。

ジョブくん
こうした結果が評価され、同社は「新・ダイバーシティ経営企業100選」により経済産業大臣表彰を受賞しています。

株式会社吉村の事例

株式会社吉村は食品包装資材の企画、製造、販売を営む東京都の企業。ダイバーシティへの取り組みとして女性社員の活躍を中心に多様な人材の活躍に力を入れました。その結果、「男性でも育児休業が取れる」「職域を超えた多能工へと組織風土が変わる」等の成果が現れてきました。

積水ハウス株式会社の事例

積水ハウス株式会社は大阪府にある住宅メーカー。ダイバーシティへの取り組みとして、積水ハウスグループ全体で女性管理職を2020年度までに200名登用することを掲げています。

200名はグループ全体で5%にあたります。女性活躍の他、障害者が働きやすい環境を整えるためのダイバーシティ交流会を作っています。

マルワ環境株式会社の事例

マルワ環境株式会社は徳島県にある産廃物処理事業を営む企業。ダイバーシティへの取り組みとして、重度障害のある社員を分別のスペシャリストと捉えて多様な人材の能力発揮を促進してきました。その甲斐あって新・ダイバーシティ経営企業100選に選出されています。

株式会社グローバル・クリーンの事例

株式会社グローバル・クリーンは宮崎県にあるビルメンテナンス事業の企業。ダイバーシティへの取り組みとして、女性社員や障碍者が活躍できる人材育成を行いました。多様な人材が全力で取り組む体制を整えたことで、新規事業への推進もできるようになりました。

オリックス・ビジネスセンター沖縄株式会社

オリックス・ビジネスセンター沖縄株式会社は沖縄県にある企業。ダイバーシティへの取り組みとして、業務効率化推進を元に性別や年齢等にこだわらず活躍できる仕組みを整備しました。新・ダイバーシティ経営企業100選に選出されています。

まとめ

ダイバーシティのまとめ
ダイバーシティ、そしてインクルージョンは多様な人材が能力を発揮して活躍するために必要な考えであり取り組みです。労働者の長時間労働に依拠した働き方では、グローバル化や少子高齢化の問題にさらされた日本経済においてはビジネスが立ち行かなくなってきています。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、個人が性別・年齢・国籍・宗教等によって能力の発揮を阻まれることなく活躍できる土台を作ること。企業はできる限り早く、ダイバーシティに取り組むことが求められています。

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