「プロパー社員」という言葉は聞いたことがあるけど、人に使い方が違うと感じたことはありませんか?
確かに、プロパー社員には4パターンの使い方があり、中途採用と区別されています。
そこで今回は、プロパー社員の意味、プロパー社員を設置するメリット・デメリットについて解説していきます。
「プロパー社員」という言葉の意味
「プロパー(proper)」とは、「正規」「本来の」、「適切な」、「ふさわしい」、「ちゃんとした」の意味があります。
プロパー社員は、使われるシーンによって様々な意味に変化し、主に以下の4つの意味合いで使われます。
「生え抜き社員」…新卒採用で入社した
「社員」…特定の分野に特化した
「正社員」…契約社員やパートではない
「自社の社員」…外部スタッフではない
プロパー社員は「プロパー」と略して使われることもあり、
日本の企業における特有の表現です。
プロパー社員はシーンによって使い分けられるため意味が変わるのが特徴です。
例えば、「生え抜き社員」は新卒入社した社員という意味があり、「中途採用社員」、「転職組」の反対語として使われます。
「正社員」という意味使われる場合は、「派遣社員」「パート・アルバイト」といった非正規雇用スタッフの反対語になります。
社内に関連会社からの出向社員、協力会社の社員がいる場合は、「自社の社員」という意味でも使われて区別されます。
新卒で入社している社員
プロパー社員が「生え抜き社員」の意味で使われる場合は新卒入社した社員を表しています。
学校を卒業してから新卒入社してずっと働いている社員のことを指し、 中途入社した社員と区別しています。
特定の分野に特化した社員
プロパー社員は、特定の分野に特化した社員を指す場合もあります。
経験や技術を見込まれて入社した専門職の社員のことで、比較的年収がよく、会社の即戦力となっています。
正社員
プロパー社員を正社員の意味合いで使うこともあり、派遣社員や契約社員と区別しています。
この場合、新卒や中途採用に関わらず正社員のすべてを含みます。
外部スタッフではなく自社社員のこと
下請け会社など外部のスタッフ、関連会社の出向社員などの外部社員がいる場合、自社社員をプロパー社員と呼ぶことがあります。
この場合は、すべての自社スタッフを含み、正社員(新卒入社、中途採用)契約社員を指します。
企業におけるプロパー社員の価値とは
ここからは、企業にとって、プロパー社員とはどんな価値があるのか考えてみましょう。
新卒入社・中途採用に関わらず、正社員として入社しているため、愛社精神が強く、企業理念を理解していることがメリットです。
同期と共に課題や問題を乗り越えてきた経験があるので、仲間意識と強く、新しいプロジェクトが始まっても良いチームワークを発揮することができます。
プロパー社員側にとっても正社員採用されることは、福利厚生・休暇など労働条件も良く、働きやすい環境にあるため、安心感があるのがメリット。
正社員として採用されると、これまでの成績や努力が認められて昇進・給与アップに繋がるのもメリットです。
日本企業は、今でも終身雇用制度・年功序列制度が残っている企業もあります。
勤続年数が長いプロパー社員は、それだけで評価されて恩恵を受けられる事も多いでしょう。
プロパー社員のデメリット
近年は、自身のキャリアアップのために転職をして実務経験を重ね、スキルアップを目指す人も珍しくはありません。
一つの会社に長年勤めることは自身の可能性を狭める可能性もあり、刺激がなく業務がマンネリ化してしまうことがデメリットです。
企業側としても、一つの企業でしか労働したことがないプロパー社員は、中途採用や契約社員と比較すると、視野が狭かったり問題解決能力が低いといったデメリットも挙げられます。
その他にも、自社のやり方しか知らないため融通がきかない、
多様な仕事の進め方に対応できないといったデメリットもあります。
プロパー社員と中途社員
プロパー社員が最もよく使われるケースは正社員の意味合いで使われることで、中途採用と比較されます。
中途採用は以前に他の企業に勤めた経験があり、転職してから入社した人を指します。
それに対して正社員は新卒入社しているので、他の企業に勤めた経験はなく、一貫してその企業に貢献しているのがポイントです。
プロパー社員と中途採用では、給与・年収や昇格、退職金など待遇面で差があることがあります。
終身雇用制度・年功序列制度が未だ残る企業では、新卒採用と中途採用では昇給の幅に違いが出ることもあります。
求められる働き方・役割の違い
近年は、国を上げて働き方改革が進められる中、ライフスタイルに合わせて様々な雇用形態が取り入れられています。
今後、働き方が多様化するにつれて、中途社員、パート・アルバイト社員などの非正規雇用社員の割合が増えていきます。
従来は、プロパー社員は会社によって企業を支える貴重な存在でしたが、今後はプロパー社員を優先する思考は変わります。
これからの時代は、非正規雇用の社員も同様に大切な人材だと捉えられて労働環境を整えていく必要があります。
プロパー社員と非正規雇用社員の間に労働条件に格差があると、企業イメージの悪化や定着率の低下に繋がります。
企業の経営者にとっては適切な教育と労働環境作りをしていくことが重要な課題となるでしょう。
プロパー社員と中途社員の溝を埋めるには
プロパー社員は入社時から同期と新人研修を受けたり、社内の人達と交流を深めながら仕事に慣れていくことができます。
人間関係を築きやすく、比較的スムーズな業務遂行が可能となりますが、中途採用の場合、その輪の中に入っていく勇気が求められるのです。
プロパー社員と中途社員の間で格差を感じたり、お互いに溝が深まると円滑な業務遂行に支障をきたすリスクがあります。
会社全体に中途採用の存在価値を否定してしまう思考があると
有能な中途社員は早期退職に繋がり、勤続平均年数が下がります。
自分の力を発揮できる労働環境がないので、中途社員がどんどん辞めていき、企業にとって大きな損失となるでしょう。
今後は、プロパー社員、中途社員に関わらず、お互いが業務に臨めるように、企業側としては労働環境作りや教育に配慮する必要があります。
派遣社員の場合は期間限定とはいえ、社会人経験も実務経験・スキルもあるため、即戦力を期待して、すぐに会社の力になってくれるでしょう。
まとめ
プロパー社員の意味は、ビジネスシーンに合わせて様々な使われ方があります。
今の時代は少子高齢社会において、どの業界でも新卒採用だけでは十分に若手人材を確保するのが困難となっています。
これまではプロパー社員を重要視していた企業も中途社員、契約社員の人材も多く求めていくことになるでしょう。
今後は、プロパー社員と中途社員、非正規雇用のすべての労働者が働きやす人事評価制度を取り入れることが求められます。
この機会に、プロパー社員重視の労働環境になっていないかもう一度見直して、人事制度を改めてみてはいかがでしょうか?