企業が求める人物像と求職者に大きな差がある場合は、「ミスマッチ」が生じて、早期退職に繋がります。
時間とコストをかけて採用活動をした場合は、ミスマッチのリスクを最小限に抑えるべきです。
この記事では、企業の採用活動において人材のミスマッチを防ぐためのコツを解説していきます。
企業の取り組み事例も参考にしながら対策法を考えていきましょう。
仕事や就職におけるミスマッチとは?
「ミスマッチ(mismatch)」とは、2つのペアの間にズレがあり、不釣り合いである状態を指します。
人材採用の場面においては、企業の人事担当者が求めるスキル・経験などの条件と求職者の間にギャップがあることです。
ミスマッチの意味や使い方
就職・転職における「ミスマッチ」とは、企業と求職者の間における希望条件、雇用条件、年齢、性格、意識の不一致を意味しています。
求職者がイメージしていた企業の社風とは違う、合わないといった性格的なミスマッチもあります。
仕事や就職でおこるミスマッチの例
2015年、外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパンによる世界31カ国のミスマッチ率に関する調査結果が行われました。
日本は米国と同様に採用において人材のミスマッチが多いという結果となりました。
採用企業側が求める人材が見つからない、求職者は思っていた職場環境ではないと感じ、早期離職の要因となっています。
仕事や雇用でミスマッチが起こる原因
職場環境や採用において、双方でミスマッチが起こる大きな原因は、スキルの不一致です。
企業側は求職者に対して、高すぎるスキルを求めていることが多く、応募者が集まらないケースもあります。
企業は、従業員が入社後にも社内研修やセミナーなどでスキルアップできる環境を整える必要があります。
しかし、応募時から高いスキルを求めているケースが多いため、採用市場から人材を見つけられないのです。
実際に働いてみるまでわからない部分が多い
厚生労働省の調査によれば、新卒で就職した企業を3年以内に退職した人材の割合は30%というデータがあります。
新卒社員の早期離職の理由は、仕事内容、配属、会社の雰囲気が事前に聞いていたものと違うといったことが要因です。
新卒の退職理由は、ほとんどが事前の認識不足、情報不足、ミスマッチを要因とするものでした。
応募者を面接だけで判断することが難しい
人事担当者は、求職者が人材スキルを持ち合わせているか、社風が合うか、面接だけで見極めるのは難しいです。
近年、新卒採用において、従来の12月の情報公開・4月選考開始から、3月情報公開・8月選考開始へ変更されることになりました。
前倒しされることによって、企業研究する時間が増えるため、人事担当者と新卒者との間に生じるミスマッチを防ぐ狙いがあります。
仕事内容と報酬などがあっていない
新卒・転職に関わらず、求職者が一番重要視するのは、給与と仕事内容が挙げられます。
求職者は十分な企業研究ができなかった場合はミスマッチになる事は多いです。
求職者は、仕事内容と報酬の他にも、企業の理念や風土、従業員の特徴、労働環境などを、多くのルートから事前に調べておくことが重要です。
自分の強みや特徴を把握できていない
求職者は高いスキルがあるにも関わらず、日本は未だに年功序列と終身雇用の文化が根強く、スキルを評価されにくい状況もあります。
自分は採用市場において、年収どれくらいの価値があるのか知っておくことも大切です。
会社側が使い捨て前提で採用している
離職率が高い職場では、新しい人材を採用しても定着しないという先入観があり、社内教育を重要視していません。
会社によっては人材は使い捨てるのは当然のように思ってるケースがあるのも事実です。
ミスマッチを防ぐ方法
日本には、高いスキルを持った真面目で優秀な人材が多いのに評価されないという実態があります。
ここからは、企業が採用市場からベストマッチングする人材を見つけるために、ミスマッチを防ぐ方法を見ていきましょう。
1. 副業や社会人インターン制度などの活用
日本は年功序列と終身雇用の独自文化が根付いているため、優秀な人材は高く評価してもらえる外資系企業へ流れる傾向にあります。
自社に優秀な人材を確保するためには、副業を認めたり、インターン制度を採用してミスマッチを防ぐ工夫が必要です。
副業や社会人インターン制度のメリット・デメリット
ただし、副業や社会人インターン制度を採用することにより、採用市場での相場を知ることになり、離職してしまうケースも考えられます。
そのため、市場価値にあった適正な報酬を見極めて、従業員のスキルに合った報酬を設定することも大切です。
2. リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員が会社の社風や求めるスキルに合う人を人材紹介に依頼する方法です。
リファラル採用のメリット・デメリット
社内環境をよく知る従業員が人材を紹介するため、
マッチング率が上がり、定着率に繋がるのがメリット。
専門性の高い人材を容易に確保することができ、採用コストを削減できるのもポイント。
デメリットとしては、不採用の人間関係の悪化、モチベーションの低下が考えれます。
3. 採用体制の見直し
求職者を見極めるために、従来の採用活動における
判断基準を見直せば、評価のズレやミスマッチを改善できます。
採用体制を見直すメリット・デメリット
例えば、新卒一括採用は長年における教育が必要となりますが、即戦力のある中途採用にシフトすれば
教育コストの大幅軽減となります。
求職者としては、幅広い業界研究をする手間がかかります。
4. 自己分析や会社研究に時間をかける
求職者は就職・転職活動を早めに始めて、時間に余裕を持つことで、自己分析や会社研究を丁寧に行うことができ、ミスマッチを予防できます。
5. 転職エージェントの担当者といい距離で付き合う
転職エージェントは募集要項を見ただけでは分からない職場の情報、裏事情にまで精通しています。
こまめに連絡を取り合うことで有力な情報を得ることができて、ミスマッチを防ぎます。
企業がミスマッチを防止するために取り組んでいる事例
ここからは、ミスマッチ予防対策をしている企業の取り組み事例を見ていきましょう。
1. メルカリのリファラル採用
株式会社メルカリの従業員は「リファラル採用」によって入社しています。
メルカリの仕事や社風を社内外の人材に知ってもらう交流イベント「DrinkMeetup」を開催して、採用前からミスマッチ予防に役立っています。
2. Googleの構造化面接法
米Google社は「行動面接」「状況面接」の二つを組み合わせた「構造化面接法」を取り入れています。
求職者の過去の行動を探る行動面接、架空の状況への対処法を問う状況面接を実施。
面接官によるミスマッチの少ない採用に繋がっています。
3. Netflixの事例
ネットフリックスは新卒採用を行わず中途採用者のみ行っています。
幅広い年代や役職の人間が審査をし、組織文化に順応できる能力を持ち、専門分野における職務経験があるかどうか重要視しています。
4. エンジャパンのRJP理論
エンジャパンのRJP理論(Realistic Job Preview 現実的な職務予告)とは「すべての情報を求職者に伝える採用のあり方」です。
入社前から、デメリットまでありままの仕事の現実を確認をさせておくのがRJP理論の概要です。
まとめ
ミスマッチが起きると、企業側と求職者の双方にデメリットがあり、最終的には早期離職になります。
企業側としては、事前に詳しい情報を公開すること、採用方法を見直すことで、面接官によるミスマッチを予防できるでしょう。