新卒とは?
大学や大学院、専門学校等を卒業して初めて社会に出た人、あるいは卒業予定の学生を新卒と言います。日本では新卒採用が慣行となっているため、新卒と言う言葉を用いています。いつまでを新卒と言うのか、新卒と第二新卒の違い、そして新卒の歴史について説明します。
新卒はいつまでか
新卒は社会に出た人や卒業予定の学生を言います。企業は新卒のポテンシャルに注目して採用します。また、学校を卒業してから3年以内の既卒者も新卒と呼ぶことがあります。厚生労働省では、青少年雇用機会確保指針を出し、少なくとも卒業後3年間は新卒採用に応募できるように定めています。既卒者は何らかの事情で就職先が決まらず無職やフリーターになっている人のことを指します。
学校を卒業した人だけを新卒に制限してしまうと既卒者が新卒採用される機会が減ってしまうため、既卒者まで新卒に含めることになったのです。つまり新卒とは、学校を卒業する予定の学生から、卒業後3年以内の既卒者までの期間を新卒と言うことになります。
新卒と第二新卒の違い
第二新卒は学校を卒業した後3年以内で、社会人経験を持っている人のことを指します。既卒者は新卒と同等に扱いますが、第二新卒は新卒とは区別されます。新卒は社会人経験がないため、企業はポテンシャルに注目しますが、第二新卒に対しては実務経験にも注目するからですね。採用する上で第二新卒を定義する理由は、社会人経験が浅い若年層を採用したいと言う企業の考えがあるからです。
新卒の歴史
新卒の歴史は古く、大正時代までさかのぼることができます。大正時代に大学令が施行され、大学生の人数が増加しました。第一次世界大戦や関東大震災等により日本が不景気に陥ったため、人数を絞って大学生を採用するようになったため、新卒が始まったと言われます。
新卒の選考フローについて
企業が新卒を採用する時の選考フローについて解説します。
エントリー・書類選考
企業は選考フローの最初に書類選考を行います。学生は企業の選考を受けるためにエントリーします。エントリーは、就職サイトや企業ホームページ等を通じて学生のプロフィールを入力する方法で行います。エントリーする際にはエントリーシートの入力を求める企業があります。エントリーシートが書類選考になる企業もあれば、履歴書を提出して書類選考する企業もあります。
筆記試験・SPI
書類選考を通過した学生に対して、企業によっては筆記試験やSPIを課す場合があります。
一次面接
筆記試験・SPIの後は一次面接があります。一次面接の面接官は人事部、現場担当者等が務めることが多いです。
二次面接、役員面接
一次面接を通過した学生に対しては二次面接、役員面接があります。二次面接では人事部の責任者や現場の責任者が面接します。企業によっては、二次面接の後で直ぐに役員面接ではなく、更に面接回数が増えることもあります。役員面接は取締役や執行役員等の役員による面接です。企業によっては社長が面接官を務める場合もあります。役員面接を通過すれば内定です。
新卒の就職活動の方法
学生が新卒として就職活動を行う際の方法を紹介します。
新卒就職サイト
新卒就職サイトは企業の求人を掲載する広告サイトです。一般財団法人雇用開発センターによると、2018年卒業予定の新卒のサイトへの登録率は90.4%となっています。ほとんどの学生が新卒就職サイトに登録していると言えます。サイト経由で学生は企業にエントリーします。採用担当者との連絡もサイト内で行われます。
大学の求人票
大学の求人票を利用して学生が企業に応募することもあります。大学とのパイプを持っている企業は、大学の研究室から良い学生を採用するため、求人票を大学に渡します。求人票はキャリアセンターに置かれ、学生からの応募を待ちます。また、就職担当の大学教員が学生に直接声をかけて応募に繋げることもあります。
新卒エージェント
新卒でもエージェントを使って就職活動を行うことがあります。エージェントは企業と学生の間を仲介します。学生はエージェントから紹介された企業の中から応募します。面接や筆記試験の日程の調整はエージェントが代行してくれます。
インターンシップ
インターンシップは、社会に出る前に企業の職場体験ができるサービスです。インターンシップは選考ではないため、「合わないな」と思えば選考を辞退することができるので気軽に参加できます。業界研究や自己分析に使うためにインターンシップを体験する学生もいます。
ダイレクトリクルーティング
新卒就職サイトや新卒エージェント等は全て、学生から企業に応募する就職活動方法でした。近年では、企業からのオファーを待つダイレクトリクルーティングもあります。ダイレクトリクルーティングは、学生が登録している人材データベースに企業がアクセスしてプロフィールを確認。応募して欲しい学生に直接アプローチできる採用活動を言います。学生は企業からオファーを受けて、応募するか否かを決めるスタイルです。
新卒で就職することの重要性
新卒で就職することは、日本企業においては重要な意味を持ちます。4つのポイントで解説します。
企業は長期雇用を念頭に置いて採用する
日本企業は新卒に対して長期雇用を前提として採用しています。人材開発や人事制度、人員配置等も新卒を基準にして作られているのです。
企業は長い時間をかけて人材育成する
日本企業は長期雇用を前提としており、長い時間をかけて人材育成します。企業の教育制度のスタートは新入社員研修で、若手社員研修・中堅社員研修・リーダー研修・管理職研修と続いていきます。教育制度には新卒から管理職まで一貫性があります。例えば求める人材として設定した「当事者意識を持った人材」を目指すために、新卒から一貫して育成しているのです。
新卒は研修が充実している
新卒の人材育成についてもう少し詳細を説明すると、新卒は研修が充実していることが重要なポイントです。ビジネスマナー・ビジネススキル・仕事に必要な知識等、講義や演習を交えて、新卒が教育を受ける機会が設けられているのです。
新卒で就職していないと面接で不利になる
新卒で就職することの重要性は、転職する時にも表れます。日本企業では新卒で就職することが一般的なので、新卒で就職していないと企業から良い印象を持たれず、面接で不利になるからです。面接官は「みんな新卒で就職しているのに、なぜしなかったのだろう?」と偏見を持ちがちになります。面接官に偏見を持たれずに面接に臨むためには、新卒で就職することが重要となります。
新卒で働くことのメリット
新卒で働くことのメリットを紹介します。
経験がなくても就職できる
新卒採用では、企業は学生や既卒者のポテンシャルを見て採用します。第二新卒以降は、転職する時には必ず実務経験を重視されるようになります。未経験OKの求人でも、求職者は、前職の実務経験を評価されて採用される訳です。新卒は、ビジネス経験がなくても就職できる最初で最後のチャンスと言えます。
大企業や大手企業で働ける
新卒採用では、大企業や大手企業は大量に人材を採用します。従って、新卒は大企業や大手企業で働けるチャンスと言えます。転職でも大企業に入社することはできますが、採用数の枠が少ないため新卒の方が働けるチャンスは大きいです。
まとめ
新卒は学校を卒業して初めて社会に出る人、もしくは卒業予定の人です。新卒採用はビジネス経験がないことが前提なので、新卒は学生時代のポテンシャルで採用されます。長期雇用を前提としている日本企業では、新卒を基準とした人事戦略を講じ、教育制度も新卒から管理職までとなっています。