年収とは?
社会人で働いていると年収という言葉が気になることでしょう。自分の年収はもちろん、有名企業の年収、競合他社の年収、全国平均の年収など、年収という言葉は耳にすることが多いものです。年収の意味、月収・月給・所得との違いを確認します。
年収の意味
年収とは、所得税や住民税、そして厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料を差し引く前の年間の収入のことをいいます。また、地域手当・家族手当・残業手当などの各種手当も含みますので、年収は会社が払う全てのお金と考えると良いでしょう。
ですから、年収700万円という場合、会社員の手元に残されるお金が700万円ではありません。年収から税金、社会保険料が差し引かれた金額が手元に残るお金であり、実際に自分が使えるお金ということになります。
税金、社会保険料が差し引かれる前の収入が年収なので、年収を税込年収ということがあります。ですから、ビジネスの現場や求人票などで「年収700万円」という言葉を見たら、あくまで税込年収であって、実際に使えるお金ではないという理解をしましょう。
年収の対象期間は、1月から12月までの1年間です。会社の一般的な会計年度である4月から3月ではありません。
年収を証明するには
年収を証明したいと思った時は、市区町村に行って「課税証明書」を発行してもらいます。課税証明書の給与収入という欄にある金額が年収ということになります。
月収とは?
月収という言葉がありますが、月収は年収を12か月で割った収入です。月収は税金、社会保険料などが含まれています。
月給とは?
月収に対して、月給はどういう意味でしょうか。月給は、基本給に地域手当・家族手当などの各種手当を含み、税金・社会保険料なども含んだ収入をいいます。月収と違うのは、残業代のように毎月変動する手当が含まれていないこと、定期代・出張手当などが含まれていない点です。
所得とは?
所得は、年収から給与所得控除を差し引いた金額をいいます。給与所得控除は自営業の経費に相当するもの。会社員には経費という考えはありませんが、給与所得控除を年収から差し引き、所得を計算するのです。所得は所得税の根拠となります。所得は年収を元に計算することができます。
例えば、年収が700万円の会社員の給与所得控除は、収入金額×10%+1,100,000円と決まっています(平成29年分~令和元年分)。収入金額に700万円をあてはめれば計算できます。つまり、年収700万円の人の給与所得控除は180万円です。700万円-180万円=520万円が所得ということになります。
年収と手取りの違い
年収の他に手取りという言葉も目にすることが多いです。違いを解説します。
税金や保険料が引かれる前の金額が年収
繰り返しになりますが、税金や社会保険料、各種手当など全てを含んだ収入が年収です。
自分の手元に入ってくるのが手取り
年収や月収に対して手取りとは、自分の手元に入ってくる金額のこと。年間の手取り、月間の手取りという風に考えます。給与を口座振込にしている会社員なら、口座に入ってくるお金といった方がイメージしやすいですね。
月収から色々なものが差し引かれて手取りとなりますが、具体的に何が差し引かれるかでしょうか。まず、基本給に地域手当や家族手当、残業手当などの手当を加えたものが会社から支払われます。これが月収です。月収から差し引かれるのは、所得税や住民税などの税金、そして厚生年金保険料や健康保険料などの保険料があります。その他に、拠出年金や旅行の積立金などの福利厚生にかかる費用、交通費などが挙げられます。
自分の給与明細を見てみると月収と手取りの違いは大きいことが分かります。月収40万円もらっている会社員でも、手取りは30万円程度です。
年収に含まれるものとは?
年収に含まれるものに税金や保険料があることは分かりましたが、それ以外に注意したいポイントを確認していきましょう。
年収にボーナスは含まれる?
年収は会社が払う全てのお金ですから、年収にはボーナスが含まれます。ですから、転職活動中に見る求人票に記載されている想定年収には、ボーナスが含まれているのです。年収の他に求人票に月給も書かれている場合、年収を月給で割れば、ボーナスが月給のどの程度の割合でもらえているのかを知ることもできるでしょう。
ただ、会社によってはボーナスが支給されない年俸制を採用し、あるいは、そもそもボーナスが支給されない会社もあります。年収にはボーナスが支給されますが、ボーナスの有無については求人票を確認しておく必要があります。
また、新卒入社の新入社員には夏のボーナスが支給されず、冬のボーナスから支給される会社があります。その場合、入社前に聞いていた想定年収と異なることもありますが、その理由は、夏のボーナスが加算されていないからという風に理解しましょう。
年収に手当は含まれる?
年収には手当が全て含まれます。手当は、法律で定められている手当と、会社ごとによって異なる手当がありますが、代表的な手当には以下のものがあります。
2.休日出勤手当
3.深夜手当
4.地域手当
5.家族手当
6.住宅手当
7.役職手当
1.~3.の手当が法律で定められている手当です。年収とは、以上のような手当全てを含んだ金額です。
ただ、手当という名称でも政府が行っている児童手当は非課税なので年収には含まれません。児童手当は中学3年生までの児童を養育している保護者に対して支給される手当です。
年収に交通費も含まれる?
自身が立て替えた交通費は、年収に含まれるのでしょうか?交通費については金額によって年収に含まれるか否かが決まります。交通費が月額10万円を下回る時、非課税対象となるため年収には含まれません。
年収に副業収入も含まれる?
厚生労働省のモデル就業規則から副業禁止規定が削除され、副業を認める会社も増えてきています。それでは、副業で得た収入は年収に含まれるでしょうか?副業収入は自分で稼いで得たお金なので年収に含まれます。その他、家賃収入や株式投資によって得た収入なども年収に含まれます。
年収から手取り額を計算する方法
年収は実際に自分で使えるお金ではありません。ですから、年収から手取り額をイメージしたい人もいるでしょう。年収が分かれば、手取りのざっくりとした金額を計算することが可能です。
日本ではだいたい年収の8割が手取り額だといわれています。ですから、年収500万円では手取り額400万円、年収600万円だと480万円です。
月の手取り額がどのくらいになるかについても考えてみます。年収500万円であれば、手取り400万円を12か月で割って月収は約333,000円となります(1,000円以下四捨五入)。しかしこの計算ではボーナス分が含まれていません。年間のボーナスが月収の2か月分だとすると、14で割って月収は約286,000円となります。
まとめ
いかがでしたか?年収というと給与口座に振り込まれるお金のような感じがしますが、年収には税金や社会保険料などが含まれています。税金や社会保険料などを全て差し引いたものが手取り額であり、手取り額が自分で使えるお金です。その他にも月給や所得についても説明してきました。
自分の年収がどのくらいか分かっていても、実際に使える手取り額が分からないと生活設計が立てにくいです。また、求人票には年収や月給は表記されていても、手取り額の記載がありません。年収から手取り額を計算することができますから、年収から実際の手取り額を計算してみると手取りのイメージが湧くでしょう。